« ノラコミHPへ


--------------------------------------------------
LPガス小売り料金について
CP急落のいまこそ、
優良顧客固定化の料金メニュー提案を
--------------------------------------------------

株式会社ノラ・コミュニケーションズ
中川 順一
 

« 前の記事【11】へ    次の記事【13】へ »
中川順一プロフィールへ »

   CPの急落により卸・小売とも「一段落」かと思いきや、早くも「値下げ」を想定した切替業者の活動が活発化しています。小売現場では今まで「原油やLPGがこれだけ急騰しているのに安売りできるのは怪しい。後で必ず値上げする」という論法で消費者に注意喚起=切替対策を行っていましたから、今後は新たな対応策が必要となります。
 ここ1、2年の仕入れ価格の大幅な高騰の中にあって、多くの販売事業者は競合対策上、小売価格への転嫁を最小限にするよう努力してきました。したがって今回の反転により失った利益の取り戻しを考えることは、商売上当然であると思われます。ただし、利益が出せる局面であっても、競合対策は常に意識しなければならないと考えるべきです。仕入れの下落は切替業者にこそ有利な環境なのです。
 一方で、価格転嫁による値上げに対する顧客の理解を得るためにと原料費調整制度を導入した販売事業者は、需要期を迎えながらも大幅な値下げを余儀なくされています。仕入れが下がったにも関わらず、利益は望めないという事態となっているところも出ているようです。中には、原料費が大幅に下がったことで「約束した値下げ」をする代わりに、基本料金や単価の値上げに踏み切るところも出ると見られています。これらは、競合に対して恰好の攻撃材料を与えるものとなりかねません。
 では、原料費調整制度の導入は誤りだったのか……現状では導入しなかった方が「トク」をしているかに見えますが、どっちがトクか、どっちが正しい選択かということは、一概に言えないのではないかと私は思います。
 ほんの3か月前まで、原料費高騰と競合対策の中で、価格転嫁に苦戦していたLPガス業界では、「都市ガスや電力も採用している」原料費調整制度の採用は「正義」であるかのように喧伝されていました。そして、「仕入の変動を当然のように価格に転嫁するのはいかがなものか」という考え方は、「システム対応できない業者の負け惜しみ」「旧来型の発想」として非難されることすらありました。しかし後者の発想は「料金政策は経営そのもの」「料金決定が自由裁量できるのがLPガスの強み」という考えに立っていた企業もあるのです。
 原料費調整制度は悪くはない。しかし、それが絶対だ、というのはいかがなものか。料金制度の選択は経営そのものなのだから、法的強制がない限り経営判断でどのような料金制度を採用しても構わないすはずだ……その考え方に立って、私は当社が出版した「LPガス版 原料費調整システムの考え方」の巻頭に「基本体系に原料費調整システムを採用し、単価部分で仕入れ増減リスクを回避する仕組みを組み合わせる、といった判断は、LPガス販売業だからこそ取り入れられる」と書きました。原料費調整制度の出版は「原料費調整制度をやっていれば安心だ」ということではないということを言いたかったわけで、タイトルに「原料費調整システムもメニューのひとつ」と書きました。当初このタイトルは、原料費調整制度推進派からは「それは原料費調整制度ではない」と笑われましたが、今回のCP下落局面で、私はそれは論理として稚拙であっても、商売としてあながち誤りではなかったと考えています。
 以上の考え方で、私は取引先に提唱しているのは、このCP下落局面でこそ、優良顧客固定化の料金メニューの提案と、仕入れリスク変動回避の原料費調整システムの選択的適用(メニューとしてお客様が選択)を進めてはどうか、ということです。「料金のメニュー化」の必要性として中で常に私が取引先に伝えてきたことは、「料金の透明化」とは、「原価を裸にする」ということではなく、「同じ条件であれば同じ値段」を徹底するということです。それは、「10立方mならみんな同じ値段」ということではなく、「同じ契約条件であれば、同じ値段」ということです。「毎月必ず10立方m以上使うと約束した人と、使ったり使わなかったりする人とでは、契約によって単価を変える。そのことを明らかにする」ことが「料金の透明化」なのです。世の中で販売されているあらゆる商品を見渡した時、原料費が裸で公開されているものの方が稀ですし、値上げの時と値下げの時とで変更が生じるような原料費調整制度がもしあるとすれば、それこそが不透明なのです。
 繰り返し言いますが、原料費調整制度が誤りだというのではないのです。「それもメニューの一つだ」という柔軟さが必要ではないかと言いたいわけです。料金制度が硬直化していると、状況に応じた対処が結果として「不透明」になります。「複数の料金表が存在し、しかもそれを隠す」ことが生じるわけです。料金のメニュー化は、料金制度を柔軟化させるために効果があり、柔軟だからこそ嘘をついてたり隠したりする必要がなくなるのです。
 原料費調整制度を導入していないのなら、仕入れが下がった分のすべてを引き下げ還元する「義務」はありません。それは、過去において仕入れが上がった分のすべてを転嫁していなかったから、が根拠になります。けれども、仕入れの値下がりにより余力が出るのであれば、取引を永続化したい優良顧客に対しては、「条件(取引期間拘束と違約金付)」を設定した上で、おトク感を実感できる料金メニューを提示すべきだと私は提案します。

(参考)
「LPガス版 原料費調整システムの考え方」
【PDF】「原料費調整システムもメニューのひとつ」
「料金メニュー化でLP販売業の構造改善を!」